2011年3月31日木曜日

「漢の花園」Vol.10弥生

3月11日14:46に発生した東北関東大震災。M9.0という国内観測史上最大の地震は、建造物の倒壊・津波・火災など、各地に甚大な被害をもたらしました。この震災で尊い命を奪われた多くの方のご冥福をお祈りすると共に、被災された皆様へ衷心からお見舞い申し上げます。2011年の春は私たち日本人にとって忘れることのできない春になりました。自然災害といかに向き合い、いかなる備えをして生きていくべきなのか、私たちは今までの考え方を根本から改め、行動するべき時を迎えていると思います。3月、学園の森には春本番を告げる花々が咲き始めました。その美しさ、可憐さの創造主も震災をもたらした自然です。この星に生きるすべてを是非もなく支配する自然の片鱗を見つめながら複雑な心でシャッターを切りました。

カタバミ(片喰・酢漿草:カタバミ科) 

1月に親戚のムラサキカタバミをご紹介しましたが、黄色い花があまりに美しいので改めてご紹介します。カタバミの別称・酢漿草(サクショウソウ)の由来は、葉や茎に咬むと酸っぱく感じる「シュウ酸塩」を含んでいるためだそうで、解毒・下痢止などに効果があると言われています。カタバミは繁殖力が強く、一度根付くと絶やすことが困難であることが「(家が)絶えない」に通じることから、武家の間では家運・子孫繁栄の縁起担ぎとして家紋に用いられてきました。戦国大名の土佐・長宗我部家、新陰流開祖の今泉家、現代では故田中角栄元首相の家紋も片喰紋とのこと。都会の道端でも逞しく繁茂するカタバミ。その強靭な生命力は今も昔も変わりません。

ユキヤナギ(雪柳:バラ科) 

その名の通り、地面の際から柳のごとく弓なりに繁茂する枝に雪のような花を咲かせます。庭や公園などでもよく見られる春を代表する草花です。花が小さな米を集めたように見えることからコゴメバナ(小米花)とも呼ばれるそうです。このユキヤナギはグラウンドに登る土手に群落があり、その花群の見事な様は夏の横綱ビョウヤナギに勝るとも劣らないもの。まさに日本学園の森における春の横綱であります。一説には日本原産ともいわれるユキヤナギは春の生け花にも欠かせない素材だそうです。なるほど、弓なりの枝の上に可憐な白い花を満載した姿は、生け花の背景やアクセントにぴったり。きっと主役を食ってしまうほどのバイプレーヤーなんでしょうね。

オオアラセイトウ(大紫羅欄花:アブラナ科) 

諸葛孔明が広めたという伝説から「諸葛采」またはムラサキハナナ(紫花菜)とも呼ばれます。原産地の中国では若い葉を野菜として食べ、種子からアブラナ同様に油を採取するそうです。空き地や庭先、土手などを埋め尽くして咲く様はなかなか見応えがあり、日本学園でも理科教室棟の裏は彼を主役とする秘密の花園のごとき景観を呈していました。僕は、この花(紫)、菜の花(黄)、ハナニラ(白)は春の三点セットのように群れ咲くものだと根拠なく思い込んでいました。しかし、なぜか後者ふたつの草花は日本学園には分布していないようです。まさにオオアラセイトウの独壇場であります。まあ、花の色は母校のスクールカラーですから良しとしましょう。

ボケ(木瓜:バラ科) 

どうです!素晴らしいでしょう!この季節、梅や桜はあれどボケが満開になる学校法人はそうそうありません。ボケの実は瓜に似ており、「木瓜(もけ)」が「ぼけ」に転訛したと言われています。実は果実酒やジャムにも使われます。花言葉は「先駆者」「指導者」「妖精の輝き」「平凡」。どれも日校健児の面々に当てはまる花言葉ではありませんか。ところでこのボケ、開かずの裏門右手にある地区の家庭ゴミ回収場所の近くに、紅い狼煙のごとく花を咲かせています。地域の美観にプライドを捨てて貢献しているとも取れますし、置かれた立場も知らずボケっと咲いているうつけ者のようにも見えます。松原二丁目界隈のみなさん、彼を大切に見守ってくださいね。

広報部会 S56卒 永澤

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