1年間で「漢の花園」に登場した学園の草花は、撮影した内のわずか1/3強に過ぎません。花期を逃した花や樹上に咲く花、茸や木の実・果実等を含めれば、登場を控えている植物は膨大な数にのぼります。その植生の幅広さと層の厚さは、当コーナーを企図した僕自身の予測を遥かに超えていただけでなく、歴史・伝統・教育・環境を一統する「日本学園」という存在そのものが驚異であり、感動的なエクスペリエンスであることを改めて教えてくれました。新宿・渋谷から15分、大都会に残された奇跡の森がある限り、「漢の花園」は続きます。これからもご期待ください。
シラン(紫蘭:ラン科)
日本・中国・台湾に自生しています。ランは直射日光に弱い仲間が多いのですが、紫蘭は日向を好むそうです。それが証拠に写真の紫蘭も5月の陽光を浴びて元気いっぱい、爽やかな風に揺れていました。この紫蘭、体育館前広場を中心に至る所で咲いております。ちなみに紫蘭の球茎は白及(びゃくきゅう)と呼ばれ、止血や痛み止め、胃炎の漢方薬としても使われるそうです。近年、母校では医歯学薬系学部への進学者も増えています。興味ある諸君は学園に自生する薬草を調べてみてはいかがでしょう?
バラ(薔薇:バラ科)
日本学園のキャンパスは約25,700㎡。どこまで続くのかと思わせる塀やフェンスが広大な敷地を取り巻いております。バラたちは主に、この塀やフェンスに絡みつきながら、その艶姿を競うのであります。しかも多くの花は街路に顔を向けて、話しかけるがごとく咲き誇りますが、それには訳がございます。写真の枝陰にブルーの紐が見え隠れしていますね。これこそ学園営繕スタッフがフェンスをトレリスに見立て、丹精こめて枝姿を整えた証。地域の美化に真っ赤なバラを。これぞ他校には真似のできない、営繕スタッフの華麗なる美学であります。
シュンギク(春菊:キク科)
どうです!まさに「漢の花園」であります。この天国のような春菊の群落は、僕が「秘密の花園」と勝手に名付けた理科教室棟裏に広がっております。撮影後、葉姿から菊科であることは一目瞭然、しかし、まさかアノ春菊だとは夢にも思わず、ネットで調べること二日・・・やっと判明し、達成感を味わったものの、「なぜ鍋の友、シュンギクが学園に?・・・」との疑問が拭えません。食べるためか、花を愛でるためか・・・。いずれにせよ学園の森には不思議がいっぱいであります。恥ずかしながら人生半ばにして春菊の花は初めて見ました・・・・。
ジャスミン(モクセイ科)
「ジャスミン?消臭芳香剤だろ?・・・」。生徒諸君にとってジャスミンはそんな花かもしれないが、実は君たちは本物のジャスミンの香りを既に体験しているんだぜ。特にテニス部の諸君、5月になると土手の上からコートへ良い香りが風に乗って運ばれて来るだろう。それが写真のジャスミンだ。この花の香気成分(ジャスモン)の工業的生産方法は確立されておらず、自然の花から抽出するしかない。従って真のジャスモンを主原料とした香料は極めて高価だそうだ。つまり、君たちは最高級の香水を浴びながら、汗まみれで練習しているようなものだ・・・。
広報部会 S56卒 永澤