今年の日学祭(10月4~5日) において、梅窓会では「昭和の音楽談話室」を企画しています。当日に出展される音響機器構成は、電気技術研究部OBの関口直秀氏(S45年卒・総務部会・フィデリティゲート㈱代表)の協力による、超マニアックな組み合わせとのこと。オーディオマニアはもちろん、一般の方でも驚くほどの音質を実感できる貴重なチャンスとなります。梅窓会ブログでは、日学祭開催まで関口氏による出展機器および音響機器に関するプレ情報を発信していきます。
梅窓会 広報部会
生々しいまでの再生音!
往年の技術で先端テクノロジーを凌駕!
今回出展する機材の凄いところは、スピーカーシステムが単純に古いということはではなく、技術的に廃れてしまった『励磁スピーカー(永久磁石でなく電磁石を使ったスピーカー)』で、永久磁石を使用する現代のスピーカーを超える、生々しい再生音を楽しめることが最大の特徴です。 大手のメーカーで励磁スピーカーを製造販売しているメーカーはありません。(一部のガレージショップでのみマニア向けに製造) 現代のスピーカーの永久磁石でも、アルニコ、フェライト、ネオジウム、サマリウムコバルトなどがあり、アルニコが一番よいとされていましたが、そのアルニコより数段励磁コイルによる磁気回路(電磁石)が優れているのです。
戦前や戦中あるいは、戦争直後の昭和初期のラジオには、この励磁スピーカーが使われていたものがあったと思います。通常のボイスコイルに継なぐ2本の線以外に電磁石を駆動するための2本の電源線が繋がっていました。通常ですと60年以上も前の製品など骨董品的な価値しか無いと考えてしまいますが、この粗大ゴミのようなスピーカーから出る音が、『オーディオフェスタ・イン・名古屋2014』で、数百万円のスピーカーと互角以上に鳴り響いたのですから面白いものです。
工業技術の変遷は、必ずしも優れているものだけが継承されるとは限りません。なぜ、励磁スピーカーを利用しなくなったのかというと、比較的性能のよい永久磁石(アルニコ磁石=アルミ・コバルト・ニッケルの合金磁石)ができたため、励磁用のコイルや別に電源を必要とする励磁スピーカーは、廃れてしまったからだと私は考えています。真空管も同様ですが、こちらは、かろうじて、オーディオ用とギターアンプ用の真空管として、チェコやロシア、中国などで細々と生産を継続しています。
励磁スピーカーで聴く声楽のソプラノやジャズ・ボーカルそして、ザ・ピーナッツなどは涙ものです。眼前にホログラムのような立体像が浮かび上がるだけでなく、当時の演奏会場の空気感まで再現する可能性を秘めていましたが、技術的な進化を成し遂げることなく棄てられてしまった技術です。フィデリティゲート㈱では、この励磁スピーカーを温故知新の精神で、名器と言われた三菱ダイヤトーンP610の復刻版を励磁で実現したら、世界最高峰のフルレンジスピーカーを誕生させることができると考えています。(P610はアルニコ磁石でした)
オーディオという趣味は日本独自の文化でもあり、世界的にも貴重なものといえるでしょう。
梅窓会 総務部会 S45卒 関口
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