2011年6月30日木曜日

「漢の花園」Vol.13水無月

怒涛のごとく盛り上がった「総会・懇親会2011」も無事終了。幹事のみなさま、本当におつかれさまでした。毎年6月は総会・懇親会の準備に追われる運営委員メンバーですが、その最中でも広報部会スタッフは、学園の森に踏み込み、美しい四季の風景を追い続けています。「漢の花園」がスタートして今日でちょうど丸一年。紹介したい日本学園の自然は、いまだ尽きることはありません。

ギボウシ(擬宝珠:ユリ科) 

東アジア原産で古来より日本にも自生しています。山間の湿地を好み、日陰でも良く育つことから、江戸時代に多彩な園芸品種が生み出されたようです。美しい葉姿と清楚な花を持つギボウシは、いまやヨーロッパでも多くの品種が育成されていますが、その事始めは、なんと、あのシーボルトだそうです。西洋医学を日本に伝えた医学者の印象が強いシーボルトですが、彼は博物学、特に植物学についても並々ならぬ情熱を注いでいた、とのこと。彼が作成した標本・絵図は、当時未明であった日本の生物に関する貴重な研究資料となり、多くはライデン王立自然史博物館に保管されているそうです。シーボルトは日本植物学の開祖のひとりだったのですね。

アマリリス(ヒガンバナ科) 

どうです、見事でしょう!このアマリリスは学園の「秘密の花園」である、理科教室棟裏に咲き誇っています。長年にわたり自生する野生種と、人の手で大切に育てられた園芸種が混然一体となって華麗な自然を形作る、それが日本学園の森の特徴です。その園芸種を丹精込めて育てていらっしゃるのが野口さん、清水さんを始めとする日本学園・営繕スタッフのみなさん。このアマリリスも営繕スタッフの愛情をたっぷり注がれて、大輪の花を咲かせました。僕にとって野口さん、清水さんは森のナビゲーター。お会いするたびに、貴重な花が咲いている場所や開花時期などを教えてくださいます。え・ボク?ボクはただシャッターを切っているだけのOBですナ・・・(汗)

ガクアジサイ(紫陽花:アジサイ科) 

昨年は手毬のようなアジサイを紹介したので、今年は野性的なガクアジサイを紹介します。普通に見るアジサイは、このガクアジサイを品種改良したもの。ここでまたシーボルトが登場します。シーボルトは江戸からオランダに帰国後、植物学者のツッカリニと共著で『日本植物誌』を著した際にアジサイ属 14 種を新種記載したそうです。そのとき付けた学名「Hydrangea otaksa Siebold et Zuccarini」に関して、日本植物学の大家、牧野富太郎とモメたそうですが、複雑な事情があるようなので、ここでは申しません。ご興味のある方は調べてください。ともあれ、6月の風物詩としてお馴染みのアジサイですが、当時の外国の方にとっては珍しい花だったのでしょうね。

クワ(桑:クワ科) 

かつて養蚕が盛んだった時代、ここ武蔵野でもカイコの餌になる桑の木が至る所に植えられ、広大な桑畑を作っていたようです。日本学園は昭和11年に新宿淀橋(新宿駅西口)から現在の松原の地に移転しましたが、それ以前の校地について、梅窓会・太田会長(S19卒)は「当時としてはハイカラなゴルフ練習場だったようだ」とおっしゃり、営繕の清水さんは「桑畑だったらしい」とおっしゃいます。お二人のお話を合わせれば「周囲に桑畑も残るゴルフ練習場」だったということに・・・。学園内には今でも桑の木が複数自生しており、毎年甘酸っぱい実を付けます。もしかすると学園が移転してくる以前から生えていた養蚕時代の生き残りかもしれませんね。

松原校地に移転した昭和10年当時の航空写真はこちら!


広報部会 S56卒 永澤

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