2013年6月3日月曜日

OB長谷川敏氏の回想記ご紹介

回想記『ベールに包まれていた南洋の島々』

●5月16日木曜日のS23年卒 池田稔OBによるブログ投稿記事「昭和18年入学・昭和23/24年卒同期会開催報告」の中で長谷川敏先輩が自費出版された回想記「ベールに包まれていた南洋の島々(発行:矢立出版)」の紹介が出ておりましたが、さっそく購入しました。長谷川敏先輩は旧制日本中学校(現日本学園)卒業後、旧制東京高等師範学校(現・筑波大学)で地学を、東北大学で天文学を修めたスペシャリストであ
ります。

●南洋の島々(マリアナ諸島、マーシャル諸島、カロリン諸島)は第一次世界大戦でドイツより占領し、大正時代中頃から先の太平洋戦争まで日本政府は南洋庁を設置して委任統治領としており、日本の統治とした島々。これら南洋の島々は敗戦で日本の統治を離れ国連から全権を任された米国が信託統治した地域となり、昭和40年代ごろになってやっと戦争で亡くなった方々の慰霊で入域が出来た島々です。

●長谷川敏先輩は昭和31年より昭和39年までの期間、日本人には閉ざされ、ベールに包まされたこの南洋群島(ミクロネシア)を米軍との契約で正確な島々の経緯度を求める仕事に従事しており、本書は現在のように観光地化される前の人々の生活、独特の風習/文化、心温まる交流、あちこちにある大戦の傷跡などを豊富な写真入りで詳細に綴った素晴らしい南洋群島見聞録であります。読後に特に印象に残ったのは太平洋戦争で本土を防衛する最前線の島々であったため米軍と戦った日本軍守備隊の玉砕した島の多さ、そして日本の文化、教育を色濃く受けた人々の多さです。どの島にも日本語が話せる人や漢字が書けたり読めたりする人、ある島では暗唱した日本の歌が歌える人、日本の名前を持つ人など日本統治下時代の日本語教育の普及ぶりには関心させられました。日本にとって空白の期間だった当時の状況を知るには貴重な書籍で、実に興味深い内容満載で一気に読んでしまいました。梅窓会の方々、在校生諸君にもぜひお読みいただければと思います。

『ベールに包まれていた南洋の島々』
著者:長谷川敏
発行日:平成24年8月14日
発行所:矢立出版 電話:045-681-1021
定価:1,050円(税共)

5月16日木曜日のブログ投稿記事
「昭和18年入学・昭和23/24年卒同期会開催報告」」は以下をクリック
http://baisoukai.blogspot.jp/2013/05/182324.html

 


広報部会 S44卒 中村

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