2012年5月31日木曜日

「漢の花園」Vol.24皐月

おかげさまで「漢(オトコ)の花園」は連載2周年を迎えました。2年もやれば、いい加減に花のネタも尽きるだろう・・・と思われる方もいらっしゃるのでは?ところがどっこい、花は尽きないのであります。その理由はキャンパスを管理している母校の姿勢にあります。日本学園の管理姿勢は“ゆるやかな放置状態”とでも申しましょうか、ある一定のレベルまで、生えるに任せ、伸びるに任せておきます。ですから森は常に半野生状態であり、風や鳥が植物の種を運んで来ては落とし、新しい草花や樹木が芽生えます。そこに新たな草花を人為的に植える作業も加わります。ですから花のネタは尽きません。その間にもOBで美化ボランティアの近藤先輩や学園スタッフによるメンテナンスが行われ、数年に一度は大掛かりな剪定も行います。つまり母校の姿勢は“里山管理”に極めて近いのです。これは日本学園の緑地がスケールの大きい生態サイクルを有しているからこそ可能なこと。生徒の自由な成長を見守る、母校ならではの適度なほったらかしが、この厳しくも美しい自然を見事に花咲かせているのであります。

森の番人・日学OB近藤先輩の紹介はこちら!
画像クリックで拡大
ハルジオン(春紫苑:キク科) 
北アメリカ原産の帰化植物で大正時代に観賞用として持ちこまれた種が爆発的に増えたそうです。昔から「貧乏草」「ションベン草」等と呼ばれて虐げられてきたハルジオンですが、集団で咲く姿はなかなか見応えがあります。実はこの場所は三号館前の森の中。昨年剪定を行い太陽光が射し込むようになった一角に今年は見事な群落が出現しました。ハルジオンの花言葉は「追想の愛」だそうです。ゴールデンウイーク最後の日、母校に咲くハルジオンたちは、その花言葉のごとく、初夏の風に切なげに揺れていました。

カロライナジャスミン(マチン科)
アメリカ・サウスカロライナ州の州花です。「ジャスミン」の名を冠していますが、モクセイ科のいわゆるジャスミンとは全く異なる種だそうです。ただし香りはジャスミンほど強くないものの、そっくりです。僕も香りを感じた瞬間、これは黄色いジャスミンかな?と思いました。このカロライナジャスミン、テニスコートに面したヒマラヤ杉の下で狂い咲いております。癌の進行や片頭痛を抑える薬の原材料として使われた時代もあったそうです。蜜も甘いらしくミツバチが盛んに花へ潜り込んでいました。南国ムードを感じる花ですね。

アヤメ(菖蒲:アヤメ科)
アヤメ、ショウブ、カキツバタの違いをご存じですか?決定的な違いはショウブ&カキツバタは水中や湿った場所に育ち、アヤメは乾いた場所に育つということだそうです。僕は3種とも湿った場所を好むとばかり思っていました。母校には残念ながら池や湿地はないので、アヤメを写しながら「よく咲いたもんだナ・・・」と感心していましたが、アヤメにとっては当たり前だったのですね。物事の選択に迷う時「いずれアヤメかカキツバタ」という慣用句がありますが、実は迷うまでもなく、咲いている場所が湿潤地ならカキツバタ、乾燥地ならアヤメなのであります。

センダン(栴檀:センダン科)
Vol.20で実を紹介したセンダンの花です。唐突ですが1592年に駿河台の吉祥寺内に設けられた仏教と漢学の学寮を「栴檀林」と言います。江戸時代には「昌平坂学問所」と並ぶ漢学研究の中心で、これが同区内の朋友、世田谷学園&駒沢大学の源流だそうです。そこでGWにバスケ部の試合の応援に向かうついでに、競技場近くの駒沢大学構内を探索したところ栴檀の樹は一本しか見つけることができませんでした。「なんだ、栴檀林のくせに・・・」と思いました。日本学園には大きな栴檀がいくつも繁っています。母校の方がよっぽど栴檀林であります。駒大さん失敬。

広報部会 S56卒 永澤

2 件のコメント:

38年卒 野田 さんのコメント...

いつも学園の綺麗な「花模様」「花景色」をありがとうございます。校内には沢山の自然が残っていますね、ホット落ち着き我に返ります。今後ともよろしくお願いします。

匿名 さんのコメント...

多岐にわたる知識の豊富さに感心いたします。何気なく見ている草花も解説が付くと解りやすく、楽しく拝読しています。